腫瘍免疫と免疫チェックポイント阻害薬の将来展望

腫瘍免疫関連の医療関係者です。主に癌や免疫などの研究に従事しています。近親者を癌でなくして依頼、研究を進めています。様々な癌における将来展望、現時点での方向性などを研究者観点で書いていきます。主に自分の忘備録ですが、癌と向き合っている方々への情報発信の場となればいいなと思っています。このブログで取り上げている内容はまだ日本で治療を受けることが出来ないものなども含まれますのであくまで今後の展望を見る、またはニュースとしてご覧になってもらえればと思います。

腎細胞癌におけるNivolumab+Ipilimumab併用療法で3年半の生存率が50%超え!

ASCO-GUで発表になった、腎細胞癌におけるNivolumab+Ipilimumabの治療が当時、標準治療だったSunitinibに対して42ヵ月時点でのOSで勝っていたという発表がOralでされていた。

その内容がBristol myers squibb社のプレスリリースでも大々的に出ている


腎細胞癌は他の癌腫に比べて比較的増悪進行が緩やかであることは知られているが、

42ヵ月(3年半)の時点で半数の症例が確認できている事は喜ばしい事だ。

対象はIMDCリスク分類という基準でリスク因子を層別化し、intermediate/poorの症例だけを対象としている群での42ヵ月のOSだ。

Ipilimumab+Nivolumab群では52%に対してsunitinib群では39%だったとの事。

さらに併用群でCR(完全奏効)が得られた症例での42ヵ月OSは80%だったという。

この治療群でのCR率は9%となっている。

ここまで来ると5年までフォローアップを行っていくことになるかもしれないが、

このような免疫チェックポイント阻害薬の評価は長期にどのような影響を及ぼすのかを観察する事にあると考えている。

企業によっては観察期間を2年で切っているところもあるが、それでは臨床サイドでは長期に見てどういうベネフィットがあるかを見極められない。

 

この併用療法はその毒性の高さと特殊性から色々と言われることが多いだろうが、負けずに結果を出し続けて欲しい。Nivolumabは国内初の薬剤でもあり、免疫チェックポイント合戦で生き抜くためには、この併用療法にかかっていると言えるだろう。