●Ipilimumab and nivolumab in advanced hepatocellular carcinoma after failure of prior immune checkpoint inhibitor-based combination therapies: a multicenter retrospective study
(pubmed )https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35864269/
(journal) https://link.springer.com/article/10.1007/s00432-022-04206-8
(雑誌)J Cancer Res Clin Oncol. 2022 Jul 21. doi: 10.1007/s00432-022-04206-8.
(Impact factor)4.553(2022)
(author) Daniel Roessler:LMU Munich, Marchioninistrasse(ドイツ)
(癌腫) 肝細胞癌
(カテゴリー)2ndLine 免疫チェックポイント阻害剤併用
(目的)免疫チェックポイント阻害薬で既治療の進行肝細胞癌症例に対する2ndLineでのIpilimumab+Nivolumabの有効性と安全性の検証
(結果)Atezolizumab+Bevacizumabまたは他の免疫チェックポイント阻害薬ベースの併用療法を受けた109例の解析。
このうちで10例がIpilimumab+Nivolumabの後治療を受けていた。患者の大半はBarcelona Clinic Liver Cancer(BCLC)ステージC(80%)のHCCで、Child-Pugh Aで定義される肝機能は維持されていた(80%)
15.3か月の追加解析でORRは30%でDCRは40%。PFS中央値は2.9ヵ月、OS中央値は7.4ヵ月であった。
(解釈上の限界)
・レトロスペクティブの検証のため前向き試験並びに別治療との比較試験が必要となる
・既報のcheckmate040試験の既治療例を対象とした群よりも本検証はOSが短すぎる
・抗PD-1/PD-L1抗体で治療失敗した症例に対して効果を示すメカニズムがまだまだ仮説レベル
・現状では適応外のため追加検証が困難
(自己考察)
現在の実臨床では進行肝細胞癌では基本的にはAtezolizumab+Bevacizumabが優先される。
今後はHIMALAYA試験で結果を出したDurvalumab+Tremelimumabが(https://ascopubs.org/doi/abs/10.1200/JCO.2022.40.4_suppl.379)
が次の候補になってくると思うが、試験上では1stLine縛りになりそうであり、少なくともAtezolizumab+Bevacizumab治療後の2ndLineではおそらくは適応外となってしまうため、本検証のように有用なのかどうかはわからないところでもある。
1stLineで免疫チェックポイント阻害薬を使ってしまうとその後の同系統の薬剤が使いづらい、前治療失敗(PDかAE)後の免疫チェックポイント阻害剤は有用か?その際のレジメンは何が最適か?という点が一つのCQになってくると考えられる。
本報告以外に中国から抗PD-1/PD-L1抗体治療後にIpilimumab+抗PD-1抗体(主にpembrolizumab)で検証された報告がある。この報告ではORRは16%と低くかったがDulation of responseは11.5か月と長い傾向であったようだ。データの背景やレジメンの違いなどのバイアスが大きいため、この分野での新たな検証は前向き臨床試験で確かめていくしかないだろう。本検証で奏効したすべての症例でirAEが発現していたようだ。1例治療関連死を出しているようなので注意も必要だろう。これ以上の臨床での検証は薬剤が適応追加を行わなければ難しいし、ほとんどすべての試験が1st Lineで検証しているため2ndLine(しかも免疫チェックポイント阻害薬既治療例)での検証は組みづらい。気になるテーマだけに、レジメンのライン別の使用hあ色々フレキシビリティを持たせた承認を考えていけないのか・・・(データは必要にはなるとは思うが・・)。今までもここは非常に悩ましい境界線のまま来ている状況でもあり、Lineの概念を超えて、こういう症例ならばLineに限らず使用を検討できるという動きになってもらいたいものではある。そのためには諸々のデータを積み重ねた議論が必要になるが。