●Early Response Assessment in Advanced Stage Melanoma Treated with Combination Ipilimumab/Nivolumab
【雑誌】Front Immunol. 2022 Jul 6;13:860421. doi: 10.3389/fimmu.2022.860421. eCollection
(pubmed )https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35874737/
(journal) https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fimmu.2022.860421/full
(Impact factor)7.561(2022)
(author) Vincent T. Ma :University of Wisconsin(US)
(癌腫) melanoma
(目的)melanomaにおいての標準値量である、抗PD-1抗体(Nivolumab)+抗CTLA-4抗体(Ipilimumab)の投与回数を減らすことで有効性を維持しつつ有害事象を減らせられるかを検証
(方法)上記併用療法を行ったmelanoma症例コホートにおいてレトロスペクティブ解析。併用療法の1回と2回投与でClinical benefit Response(CBR)を得られた症例のOSやPFSを検証。CBRはStable desease+partial response+conplete responseと定義。さらに調整した症例群で1~2回投与と3~4回投与を比較している
(結果)199例を評価しており、併用療法1回だけ投与群でCBRを得られている症例は増悪症例(PD)に比べてと比較してPFS(HR: 0.16, 95% CI 0.08-0.33; p<0.001)およびOS(HR: 0.12, 0.05-0.32; p<0.001)改善した。また、I/Nを2回投与したCBR患者(対PD)では、PFS(HR: 0.09, 0.05-0.16; p<0.001)とOS(HR: 0.07, 0.03-0.14; p<0.001)が改善された。PFS(HR: 0.95, 0.37-2.48; p=0.921)とOS(HR: 1.04, 0.22-4.78; p=0.965)。I/Nの1または2投与と3または4投与を比較しても生存リスクの差はなかった
(結論) 抗PD-1抗体(Nivolumab)+抗CTLA-4抗体(Ipilimumab)の1回、2回でCBR症例を得られた症例は良好な成績に関連する。毒性軽減の観点からより少ない投与回数で済むべきかは別途検証が必要である。
(解釈上の限界)
・本試験の結果を受けて、奏効している治療をいきなり止めるというわけにはいかない
・CBRで検証されているが、結局のところ投与回数別のCRとPRの長期予後が不明なため休薬判定にはまだリスクがある
・本研究は活動性の脳転移症例などを反映しており、通常の臨床試験などのクライテリア外の症例も含んでいる
・今は体重固定用量で使用できる状況だが、Nivolumabは1mg/kgで治療されている
・評価方法が通常のRECIST基準ではなくiRECISTを用いて行っている
・レトロスペクティブなため前向き試験に変えて、投与回数別、奏効別に長期で見なければわからない
(自己考察)
本検証でirAEが原因で治療が中断したケースは初回投与群で11%、2回投与群で26%となっていた。3回投与ではGrade3以上のirAEが50%と結構多く発現しているところが今までの報告と変わっているところだろうか?Melanomaではこのipilimumabの投与は3mg/kgの投与となっており、用量が多い点が指摘されている。抗CTLA-4抗体は用量依存的な毒性を有しているとのことなので、投与を重ねるごとに有害事象にはつながりやすい可能性もある。
他の疾患ではIpilimumabは1mg/kgの6週回しとなっているようなので、4回投与を行っている疾患は限定的かとは思うが、無駄な投与を続けて毒性のリスクを上げるよりも、primingを短期でしっかり起こしてPD-L1を出している腫瘍の抗原認知をしてPD-1を出しているCD8+Tの疲弊解除をする抗PD-1抗体に託してメンテナンスを検証することも重要であると感じさせられた。