腫瘍免疫と免疫チェックポイント阻害薬の将来展望

腫瘍免疫関連の医療関係者です。主に癌や免疫などの研究に従事しています。近親者を癌でなくして依頼、研究を進めています。様々な癌における将来展望、現時点での方向性などを研究者観点で書いていきます。主に自分の忘備録ですが、癌と向き合っている方々への情報発信の場となればいいなと思っています。このブログで取り上げている内容はまだ日本で治療を受けることが出来ないものなども含まれますのであくまで今後の展望を見る、またはニュースとしてご覧になってもらえればと思います。

肺癌

NSCLCにおける抗PD-L1抗体のAtezolizumabで治療恩恵を受ける症例はどういう症例か?

Development and validation of a prognostic model for patients with advanced lung cancer treated with the immune checkpoint inhibitor atezolizumab. 【雑誌】 Clin Cancer Res. 2020 Feb 21. pii: clincanres.2968.2019 https://clincancerres.aacrj…

やはり難しいSCLC治療への道(モノクローナル抗体Dinutuximabの治験失敗)

肺癌の中でも小細胞肺癌(SCLC)は治療選択肢が乏しく、進行も早い事もあり難治性であることが知られている。 この疾患の治療選択を増やすために各企業も色々なアプローチを行っているが、 今回、United Therapeutics社のUnituxinもSCLC開発に失敗したようだ…

向かい風の中、肺癌治療に風穴を開けられるか?ブリストル・マイヤーズの次の手は?

先日取り上げたが、肺癌治療における免疫療法ののろしを上げて礎を守り通していた「オプジーボ(nivolumab)」も、現時点では「キートルーダ(Pembrolizumab)」に絶対王者の座を奪われてしまっている。 巻き返しを図るオプジーボは、現在の肺癌治療における…

CHMPは申請却下、FDAは迅速審査、肺癌においての抗CTLA-4抗体+抗PD-1抗体は無事適応を取れるのか?

ちょうど、下の記事を書いている時に見つけたものだ。 個人的には、上記ニュースよりも、今後の方向性を占う上での適応となる、 肺癌におけるヤーボイ(抗CTLA-4抗体)+オプジーボ(抗PD-1抗体)が適応を取得できるかどうかの分かれ道となる。 現在の肺癌治…

ASCO2019アップデート Driver mutation無しのⅣ期NSCLCにおける化学療法のガイドライン

肺癌における化学療法も2017年から非常に多様化してきた。 ASCOにも昨年参加したが、もうDriver mutationか免疫チェックポイント阻害薬の話題ばかりでプラチナダブレットの話題は全くもってナリをひそめたようなものになってきている。ここ数年で治療体系も…

高齢者肺癌においても免疫チェックポイント阻害剤単剤は有用なのか?

肺癌で免疫チェックポイント阻害剤単剤が適応を取ってからもう3年以上経つのかと思うと・・本当に早いものでもある。melanomaで最初適応を取った事にも当時驚いたが、肺癌においても適応を有したことに大きな拡がりを感じたものだ。 今は、単剤での治療効果…