【企業動向】Roche(中外製薬)のテセントリク(Atezolizumab)の腎細胞癌におけるadjuvant治療失敗(IMmotion010)
【企業動向】Roche(中外製薬)のテセントリク(Atezolizumab)の腎細胞癌におけるadjuvant治療失敗(IMmotion010)
腎細胞癌において再発転移の治療のラインナップは免疫チェックポイント阻害剤やTKIの上市により拡がりを見せてきている。
抗PD-1抗体+抗CTLA4抗体、抗PD-1抗体+TKI、抗PD-L1抗体+TKI、TKI単独治療など1st Lineも充実している。
一方で腎細胞癌の周術期においては抗PD-1抗体のpembrolizumabが術後補助療法として2021年11月にFDA承認を取得(keynote-564の結果から)
国内では2022年7月段階ではまだ未承認の状況ではある。
(Keynote564)Adjuvant Pembrolizumab after Nephrectomy in Renal-Cell Carcinoma
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2106391
それに追随するかのようにRocheのAtezolizumabも腎細胞癌における術後補助化学療法における検証を行っていたが失敗に終わったようだ。
IMmotion010というPhaseⅢ試験で検証を行っていたが、RocheのQ2の進捗共有でプライマリエンドポイントのDFS(Disease free survival)の未達が確定したとの事。
約780例規模で2017年から行われており5年目を迎えるタイミングでの公表であり、非常に長い期間をかけた検証にも拘らず無念であるに違いない。
試験詳細:clinical trial.gov https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03024996
どう未達だったのかは今後の国際学会で開示されてくることになるかとは思うが、
周術期における検証試験はエンドポイントの設定上、かなり長期にわたることからも治療のアップデートや環境の変化を反映しづらい点がある。
結果が出てきたころには実情と変わっていることも多々あるため臨床応用においてまた別のハードルを有することも多い。(例えばadjuvantに免疫チェックポイント阻害薬を使った場合に再発した際の治療戦略はどうするべきか?など)
本検証も、なぜダメだったのか?も検体研究を踏まえ考えていってもらいたいものである。