腫瘍免疫と免疫チェックポイント阻害薬の将来展望

腫瘍免疫関連の医療関係者です。主に癌や免疫などの研究に従事しています。近親者を癌でなくして依頼、研究を進めています。様々な癌における将来展望、現時点での方向性などを研究者観点で書いていきます。主に自分の忘備録ですが、癌と向き合っている方々への情報発信の場となればいいなと思っています。このブログで取り上げている内容はまだ日本で治療を受けることが出来ないものなども含まれますのであくまで今後の展望を見る、またはニュースとしてご覧になってもらえればと思います。

Eli LillyはもうImmune oncologyから撤退?

 

Eli Lillyのパイプラインにはそれなりに期待していたのだけれど、結果が伴わなかったのと流れ弾を受けて、Immune oncology部門は無くなってしまいそう。

Eli Lillyは2019年4Qの決算発表において3つのpipelineの開発を止める事を公表した。

 

どこかにpipelineを導出するのかもしれないが、今後はどうなのだろうか?

IDO阻害剤は、melanomaでのpembrolizumabとの併用の試験の結果を受けて、方向性が怪しくなってしまったためか開発がストップしている。

抗Tim3抗体もPhaseⅠで結果を残せなかったようだ。やはりかなり疲弊してしまっている血球能を元に戻すことは困難なのかもしれない。

TGEβキナーゼ阻害剤は個人的に興味はあったのだが、これも抗PD-1抗体併用との道がちょっと厳しいようではある。

 

ただPhaseⅠ/Ⅱあたりで比較的早期にcloseしているのでダメージは少ないか?

PhaseⅢまで来てこけてしまった時の打撃を考えればとんでもないし。

 

今後の動向までは詳しく述べられていないが、やはり腫瘍免疫をターゲットとする創薬は一筋縄ではいかないという事を思い知らされる。