腫瘍免疫と免疫チェックポイント阻害薬の将来展望

腫瘍免疫関連の医療関係者です。主に癌や免疫などの研究に従事しています。近親者を癌でなくして依頼、研究を進めています。様々な癌における将来展望、現時点での方向性などを研究者観点で書いていきます。主に自分の忘備録ですが、癌と向き合っている方々への情報発信の場となればいいなと思っています。このブログで取り上げている内容はまだ日本で治療を受けることが出来ないものなども含まれますのであくまで今後の展望を見る、またはニュースとしてご覧になってもらえればと思います。

NSCLCにおいてPD-L1測定以外にHLA classⅡも一つの候補になり得るか?

HLA class II molecule HLA-DRA identifies immuno-hot tumors and predicts the therapeutic response to anti-PD-1 immunotherapy in NSCLC

【雑誌】BMC Cancer. 2022 Jul 6;22(1):738. doi: 10.1186/s12885-022-09840-6. open access

(pubmed )https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35794593/

(journal) https://bmccancer.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12885-022-09840-6

(Impact factor) 4.069(2022)

(author) Jie Mei : The Affiliated Wuxi People's Hospital of Nanjing Medical University

(癌腫) NSCLC

(カテゴリー)HLA

(目的)NSCLCにおける免疫チェックポイント阻害剤の患者層別化のためのbiomarkerの模索

(方法)データベース研究としてbiomarker候補として関連する7因子を抽出して自施設のコホート群で検証

(結果)NSCLC組織検体ではヒト白血球抗原DRα(HLA-DRA)がダウンレギュレートしており、腫瘍細胞と免疫細胞の両方がHLA-DRAしているケースで良好なアウトカムを示していた。また別癌腫での検証でも同様にHLA-DRATMEの炎症所見と関連していた

(結論) HLA-DRAが免疫チェックポイント阻害剤のbiomarker候補の一つとなる可能性がある

(解釈上の限界)あくまで概念的な部分の引用のため割愛

(自己考察)

HLAT-cellの機能維持の一環で重要であると前々から考えていた。いくつか小さいコホートでも検証されている。

免疫細胞側のHLAの機能、腫瘍細胞側の抗原提示能の確認の一環でのHLA発現は切っても切り離せない関連であると考える。

免疫チェックポイント阻害剤においては流動的な腫瘍側のPD-L1よりもHLA class/Ⅱ発現のIHCで見たほうが意外と鋭敏だったりして・・?

そう思ってはいるのだが、このコホートではPD-L1とほぼ同等のような感じ・・?そうであれば取って代われるまでには至れないのか?もっとちゃんとしたコホートで検証をしても良いのかもしれない。特にHLAは人種差モ出てくるところから日本のデータで検証できればよりよい物になるのかもしれない。

過去、melanomaにおける大規模な試験でHLAと免疫チェックポイント阻害剤の効果を見た報告があったような気がしたが、その時はOSの因子になっていなかったようではあるが、もう一回調べてみようかな?